2007ツール・ド・フランスを振り返る(2)

 ラスムッセンのリタイアでマイヨジョーヌは繰上げで24歳のコンタドールの手に渡ることになったが、第17ステージはマイヨブランのまま出走していた。

 プロローグに続き、マイヨジョーヌの姿がないステージとなった。マイヨジョーヌはASOの母体であるレキップ紙のイメージカラーである。プロローグ以外でマイヨジョーヌのいないステージなど前代未聞の出来事である。

 ドーピングに関してはスピーディーな対応を見せていたASOだけに、ラスムッセンの対応はお粗末としかいいようがなかった。

 しかし、暗い話題ばかりではなかった。アルプス初日にT-モバイルの若手ゲルデマンが果敢に逃げてツール初参加・初優勝を飾り、24歳の若さでマイヨジョーヌを着るというシーンもあった。55285

 残念ながら、翌日にはチームのエース・マイケル・ロジャースが落車の影響でリタイヤし、ステージ後の帰路で観客に衝突して大怪我を負ったシンケウイッツまでもがツールを去ることになったT-モバイルは1日でマイヨジョーヌを失うことになってしまう。

 しかし、24歳のゲルデマンという選手の活躍は全世界に感動と喜びを与えたに違いないと思っている。

 さらに、アルプス最終日にはバルドワールドのソレールが山岳ステージを見事に逃げ切りツール初参戦・初勝利を挙げた。彼もゲルデマン同様24歳である。

 残念ながらマイヨブランアポアルージュには手が届かなかったが、山岳トップのラスムッセンがマイヨジョーヌを着ていることから、繰り下げでマイヨブランアポアルージュを着ることになる。そして、彼はパリまでそれを着続けたのである。

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2007ツール・ド・フランスを振り返る(1)

 第1ステージのマキュアンの落車からの驚異的な勝利で幕を開けた昨年のツールだったが、その後全く生彩を欠いたまま、アルプス2日目にしてタイムオーバーで早々にツールを去ることになってしまう。

55024  ヴィノクロフの落車と奇跡的な復活勝利で最高潮に達した感のあったツール・ド・フランスも、ヴィノクロフの血液ドーピング陽性というニュースで冷水を浴びせられることになってしまった。

 この事件は感動的な走りの裏にドーピングありという一昨年のランディス事件を髣髴とさせるものとなった。この事件では当事者のヴィノクロフばかりではなく、アスタナがチームの撤退を決めた。

 これによって優勝候補筆頭に名が挙がっていたクレーデンが去り、アルプス2日目からマイヨジョーヌを着ているラスムッセンに注目が集まることになった。

 しかし、そのラスムッセンもマイヨジョーヌを確実にしたと思わせたピレネー最終日に、UCIへの所在地報告に虚偽があったとしてチームを解雇され、ツールの舞台から姿を消した。56395

 それもオービスク山頂で見せたコンタドールとの手に汗を握るステージの直後であった。

 ツールファンとしてはなんともやりきれない思いになった瞬間である。感動的な走りを見せた選手が、その翌日にはもういないのである。感動しては冷水を浴びせられる。こんなことが続けばツール・ド・フランスそのものの存在が危うくなると感じた。

 一年のように対応が遅れてドーピングの問題が発覚していた選手がマイヨジョーヌを着たままパリの表彰台に上がるというのも問題だが、今年6月に発覚していた所在地問題を何故このタイミングで取上げるのかという疑問が生じた。

 7月20日の段階でプリュドム氏は「総合首位に立つラスムッセンは、第12ステージに出場するでしょう」と語り、ラスムッセンの出場を強調していたのだ。

N20070725170809  ASOの対応のまずさが露呈した事件であった。少なくとも20日の時点でASOが速やかな対応を取っていれば、ピレネーでの争いは違ったものになっていたはずだ。ラスムッセンの為に献身的なアシストを続けていたラボバンクのアシストたちの努力は無に帰してしまったのだ。

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「ツール・ド・フランスに出場するために全力を尽くす」

 ジロ・デ・イタリアが閉幕し、ツール・ド・フランス開幕まで一ヶ月に迫った。

 ツール・ド・フランスの主催者ASOはアスタナが過去のドーピングスキャンダルを理由に7月5日から27日にかけて行われる2008ツール・ド・フランス(2008 Tour de France)への出場を認めていない。Tourparcoursglobal

 しかし、国際自転車競技連合(International Cycling Union、UCI)は、(アスタナを除外するという)ツール・ド・フランス大会主催者の決定に反対の立場を示し、解決策を見つけ出すように提案しているというが、未だ解決していない。

 ジロ・デ・イタリアの主催者ガゼッタも当初はアスタナの参加を拒否していたが、急遽方針を転換してアスタナの参戦を認め、その結果12年振りにマリアローザがイタリア人以外の手に渡ることになった。

90874  もし、最初の決定どおりアスタナが参戦できなければ今年のジロ・デ・イタリアはどうなっていただろう?厳しいコースと移動距離などを考慮して多くのプロチームの有力選手がジロ・デ・イタリアをスキップしていた状況では、地元イタリアでは盛り上がりは見せても、世界的に見るとTVの視聴率などは大きく低迷したに違いない。

 かくいう私もアスタナの参戦が決まり、昨年のグランツールの覇者が全て顔を揃えるということで例年に無く注目していた。

 プロチームの有力選手がスキップしたことでコンチネンタルプロチームが活躍を見せ、個人的には大満足のジロ・デ・イタリアだった。

 ジロ・デ・イタリアをスキップしてツール・ド・フランスに照準を合わせる選手が多く、ASOは満足していたのかもしれない。

 しかし、アスタナがドーピングの問題をクリアしコンタドールがマリアローザを獲得したとあってはASOも静観はしていられない状況のはず。

 個人的にはASOに対し、メールで抗議文を送らせて頂いた。おそらく世界各国の自転車ロードレースファンから同じようなメールが多く送られていると私は信じたい。

 そもそも過去のドーピング問題を理由にチームの参加を認めないという決定に問題があるはずだ。確かに昨年のアスタナには問題があった。しかし、ドーピングで有罪と判定された選手はすでにチームにはいない。57160

 さらにアスタナは昨年で解散が決まっていたディスカバリーからヨハン・ブリュイネールをGMとして引き抜き、チームの再生に努力してきたはずである。

 そしてコンタドールでジロ・デ・イタリアを征した。今のところドーピングの問題は全く取りざたされていない。今年最も強い選手をASOは招待しないままで済ませられるのだろうか?

 グランツールの主催者がそろってUCIのプロプアーからの離脱する中UCIには何の力もない。今年のジロ・デ・イタリアを見る限りプロチームとコンチネンタル・プロチームの力差はなくなってきているようにも見えた。

 ディルーカやシモーニがそうだったように今後はグランツールに出るためにコンチネンタルプロチームに移籍するプロ選手が出てくるかもしれない状況にある。

 もし仮にコンタドールがツール・ド・フランス連覇を狙って地元フランスのコンチネンタルプロチームに移籍した場合、そしてそのチームがツール・ド・フランスに参加が決まっていた場合ASOはどうするのだろう?

 参加拒否はチームとしてのアスタナに対するものであって選手個人に対するものではないとすれば当然参加が認められることになってしかるべきだろう?

57676  しかし、多分そうはならないだろう?ASOは「アスタナの過去のドーピング問題」を理由に挙げているが、それはあくまでも表向きの理由で、本音はコンタドールのオペラシオンプエルト疑惑にあるのではないかと私は推測している。

 昨年のツール・ド・フランス以降もドイツ国内のレースからコンタドールは参加を拒否され続けた。その理由がオペラシオンプエルトに関するものだった。

 昨年のツール・ド・フランス前には徹底的に調査をされ、一度は白と判定されていたにも関わらず、コンタドールのオペラシオンプエルトの問題が再燃した格好になり、ASOは面目を潰した格好になってしまった。

 ならば、徹底的な調査をして早く結論を出すべきではないのか?それをうやむやにしているから「チームの過去のドーピング問題」などいう苦しい理由が出てきてしまうのだ。

 個人的にはASOが考えかたを改めてくれることを強く望んではいるが、フランス人の気質から考えるとジロ・デ・イタリアのように急遽方針転換をするとは考え難いことも確かである。

 それにオペラシオンプエルトの問題が絡んでいるとなるとなおさらだろう。しかもそれを表立って公言できないということは疑いは大いにあるが明確な証拠がないということでもある。

 ASOは昨年は一度潔白という判断を下したのだから、それを貫くべきではないのか?ドイツの検察当局が言うように確たる証拠があるのならASOやUCIにも開示すべきではないのか?

 ガゼッタはコンタドールに正式にマリアローザを授与した。ASOもその英断を見習って欲しいと願っている。88194_2

 ツール・ド・フランスは世界で一番強いロードレーサーを決めるレースなのだから、ASOは胸を張って今世界で最も強いコンタドールを招待すべきだと考えているのは私だけではないはずだ!

 仮にツール・ド・フランスに出られなかったとしても、コンタドールはヴエルタでグランドスラムを達成するに違いない。そうなって赤っ恥をかくのは誰でもない。ASO自信なのだ!

 コンタドール自信「今でも根拠がなく納得のいかない決定だと思っている。アスタナは今年のツール・ド・フランスに出場するために全力を尽くす」と語っているようだが、是非参加してもらいたいと心から願っている。

 ジロ・デ・イタリアを急遽走らざるを得なくなり、ピーキングは難しい状況に違いない。ツール・ド・フランスの連覇はともかく、Wツール制覇は相当に難しい。達成すればパンターニ以来ということになるのだろうか?

 「伝説の域に達するためにはまだ成すべきことが多くあるが、ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスを制したので、自分が最高のロードレーサーの一人だと胸を張って言える」と語っているが、ランス・アームストロングやマルコ・パンターニの域には達してはいないが、それに近い能力の高さは充分に見せてくれている。

 昨年のマイヨジョーヌはともかくとして、今年のマリアローザは真に彼のものである。これでヴエルタも征すれば名実ともに彼らの仲間入りができると私は考えている。

 これだけ才能のある選手をいつまでも過去のドーピング問題で苦しめるのは辞めてもらいたい。オペラシオンプエルト問題が発覚してから既に3年の歳月が流れているのだから、若い才能のためにも一日も早い解決を願うばかりである。

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コンタドールが安定した走りで総合優勝!!

 グランツールの覇者が全員顔を揃えた第91回ジロ・デ・イタリアの最終日はミラノまでの28.5kmの個人TT。

 中盤にスタートした選手たちが好タイムでゴールする中で、後半にスタートした総合争いの上位陣のタイムが全く伸びない。

 本来TTを得意にしているメンショフやブルセギンがTOP10にも入れないという予想外の結果に終わった。90973

 優勝はイタリアのTTチャンピオンマルコ・ピノッティ(チーム・ハイロード)。2位にも7秒差で同じハイロードのトニー・マルティン(ドイツ)が、さらに4位にもハイロードのブレッドレー・ウィギンズ(イギリス)入ると結果に終わった。

 総合上位陣では唯一マリアローザのアルベルト・コンタドールが39秒差の11位が最高順位だった。

 ブルセギンやメンショフとというTT得意の総合上位陣が次々と遅れてしまったところを見ると、最後のドロミテからスイス・アルプスにかけての山岳コースがいかに厳しかったかが分かる。

Profile15  これまでのグランツールの最後の個人TTは総合上位陣の争いになるのが通例だった。ところが今年のジロ・デ・イタリアは最後の山岳ステージが相当に総合上位陣のスタミナを奪ってしまっていたようだ。

 グランツールのように3週間にも及ぶ長いステージレースの個人TTはナショナル選手権などの個人TTとは全くその性格を異にする。Profile20

 コンタドールが昨年のツール・ド・フランス以降個人TTが得意と言われるようになっているが、彼の体型を見る限りランス・アームストロングやヤン・ウルリッヒのような選手とは明らかに異なるタイプである。

 コンタドールはワンデイでヨウイドンのTTなら決して上位に食い込むことは多分できないはずだ。グランツール後半の個人TTは単に絶対的なスピードだけでは勝てないレースなのである。

 3週間に及ぶステージレースは確実に選手個々の体力を確実に奪ってゆくからである。各国のTTチャンピオンが最後の個人TTではどうしても遅れてしまうのはそのためだ。

 昨年のツール・ド・フランスではロンドンのプロローグを圧倒的なスピードで後続を千切ったカンチェラーラが最後の個人TTではライプハイマーやエヴァンス、コンタドールにも遅れを見せるのがグランツール終盤の個人TTの特徴といえる。

 ところが今年のジロ・デ・イタリアは後半の山岳ステージがあまりにも厳し過ぎたたため、総合優勝争いを繰り広げた選手たちの疲労はピークに達していたのだろう。その結果、最後の山岳をグルペットで体力の温存が可能だった選手たちが一機に台頭したと私は見ている。

90869  従ってコンタドールは決してTTが得意な選手だとは今でも考えてはいない。山岳のスペシャリストの中ではTTを苦手にはしていない選手のひとりに過ぎないはず。

 ただ、彼の最大の特徴は若さに似合わずクレバーでステージレースでのペース配分が非常に上手いという点だ。

 今年のジロ・デ・イタリアを振り返ってみてもコンタドールが山岳で積極的に動くことは一度もなかったと記憶している。

 それがリッコとのタイム差がわずか4秒にまで詰まってからも同じであった。仮にこの差が1秒であっても、仮にタイム差を逆に1分程度付けられ、マリアローザを一度手放していたとしても、コンタドールは慌てることはなかったと推測している。

 多分、ヨハン・ブリュイネールの指導が大きいと思っているが、晩年のランス・アームストロングはアシストの負担を軽くするために、意図的にマイヨジョーヌを手放すことが度々あった。これもヨハン・ブリュイネールの指示によるものと私は考えている。56585

 ディルーカのように一機に勝負に出る選手も魅力的だが、一発勝負で総合優勝を手にするのは3週間のグランツールでは非常に難しい。

 それができる選手は全盛期のマルコ・パンターニやランス・アームストロングくらいなものだろう。今のコンタドールはまだまだ完成途上で、ひとつの登りゴールで相手に大差をつけるだけの力はまだない。

 それを知り尽くしているブリュイネールはコンタドールにグランツール全体を俯瞰してトータルのタイム差の範囲で走りをコントロールする術をコンタドールに教え込んでいると私は推測している。

 だからこそディスカバリーの解散の後、コンタドールは移籍先としてブリュイネールのいるアスタナを選んだはず。本来なら地元スペインのケースデパーニュ辺りに移籍してもよかったはずである。移籍金も年俸もそちらの方が良かったに違いない。

 ランス・アームストロングのツール・ド・フランス7連覇という偉業もブリュイネールという名匠がいてこそ可能だったと私は考えている。ブリュイネールとの出会いがなければランスのツール・ド・フランスの連勝は4程度終わっていたに違いない。

 過去9年でツール・ド・フランス8勝という快挙はブリュイネールの頭脳の賜物といえるだろう。

 今年のジロ・デ・イタリアは急遽参戦が決まりチームとしての準備がほとんどできていなかったはずだ。それはライプハイマーの不調やクレーデンのリタイヤを見ても明らかだろう。コンタドールにしても体調万全で臨んだとはとうてい思えない。

 ブリュイネール自信にとってジロ・デ・イタリアの優勝は2005年のサヴォルデッリ以来の2勝目となったわけだが、今年のジロ・デ・イタリアは彼のキャリアの中でも難しいレースだったに違いない。

 ブリュイネールはアスタナのGMであり、直接監督車から指示を出す立場にはないが、彼の意向は確実にチームに伝わっていたはずだ。

 さすがだと思ったのは第19ステージでLPR勢の思わぬ下りでの奇襲があり、総合のタイム差が一機に詰まってしまった後の対応である。

 ライプハイマーで不調でクレーデンに大きな負担がかかってしまった。その結果が第20ステージのガビア峠でのクレーデンのリタイヤに繋がったと見ている。

90613  そしてアスタナが最も怖れたのは第20ステージで再びLPRの下りでの仕掛けだったはず。そこでアスタナはアシストの中で最も調子の良かったコロムの逃げを選択した。

 結局LPRには下りで再度仕掛けるだけの余力は残っておらず、ディルーカは大きく遅れることになったが、モルティローロの下りでコンタドールに合流したコロムはリッコにプレッシャーをかけることには成功している。

 セッラやシモーニが最後に動いた時にリッコが動かなかったのは、コロムの存在があったからだと私は推測している。ピエポリを怪我で欠いたリッコは単独走行を強いられていた。そこに4秒差とはいえアスタナが二人になった状況では、リッコが動けばコロムがマークに入ることは明らかな情況だった。

 翌日のTTを考えれば、それでもリッコは動くべきだったと私は考えている。万が一にも個人TTでコンタドールに勝つことは不可能な状況なら、一か八かの賭けに出るのが追う立場の選手の使命だろう。90874

 ディルーカはその賭けに出て敗れはしたが、リッコが本気でマリアローザを狙っていたのならセッラのアタックに反応するべきだったと私は思っている。ディルーカには総合2位も着外も同じだった。彼はあくまでも総合優勝を狙って前日の賭けに出た。対するリッコはあくまでも表彰台に拘った結果、何もできないまま終わってしまった。

 今回のジロ・デ・イタリアは若いリッコには学ぶべきことが数多くあったと思っている。ピエポリが無事なら総合優勝も夢ではなかったはずなのだ。

 昨年のツール・ド・フランスも最後の最後でマイヨジョーヌのラスムッセンが去り、繰上げでマイヨジョーヌを手にしたコンタドールだが、今回のジロ・デ・イタリアもピエポリの怪我がコンタドールに幸運をもたらした。

90915   運も実力のうちだが、一度は死をも覚悟しなければならなかった大病を克服したコンタドールには今勝利の女神が取り付いているのではないかと思いたくなる。

 開幕直前まで参加することさえ、考えていなかったジロ・デ・イタリアでマリアローザを獲得してしまったのだから・・・

 これで未だアスタナのツール・ド・フランス参戦を拒否しているASOに対する風当たりが益々強くなるだろう。

 昨年の3大ツールの覇者が顔を揃えた今年のジロ・デ・イタリアはツール・ド・フランスの覇者に凱歌があがった。加えて12年振りにイタリア人以外から優勝者が出た。

 さらに今年はコンチネンタルプロチームの活躍も異常なほどに目立っていた。おそらく全ステージの半分以上がコンチネンタルプロが勝っているはずだ。3大ツールの主催者がそろってUCIから離脱をし、UCIのプロツール制度がほとんど機能しなくなっていることを如術に実証したことになる。90880_2

 有力選手はこの後、ツール・ド・スイスやドーフィネリベレなどをステップにしてツール・ド・フランスを目指すことになる。

 ガゼッタは急遽アスタナを参戦させたことでツール・ド・フランスのチャンピオンが最も強かったことを証明してしまうことになった。しかし、ガゼッタの行動は間違ってはいなかった。過ちを正すのに遅すぎるということはないのだから、ASOもアスタナの参戦を認めるべきだと思っている。

 ASOへは抗議のメールを送ってみようと思っている。最後にこの過酷なジロ・デ・イタリアをを完走した選手たちには「お疲れ様」と「ありがとう」というメッセージを送りたい。

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コンタドールがマリアローザのままミラノへ!!

 チマコッピのガビア峠の下りでLPRのアタックが見られることはなかった。

 コンタドールはガビア頂上付近で最大のアシスト・クレーデンを失っていた(リタイヤ)というのに、この日のLPRは動かなかったのか、動けなかったのか?

 結局モルティローロの上りで遅れたディルーカはこの日タイムを大幅に失い、総合優勝争いから脱落してしまった。90790

 モルティローロでのディルーカの脱落はコンタドールを非常に楽にしてしまった。セッラが仕掛けリッコが追うという展開を横目でみながらコンタドールはほっとしていたに違いない。

 この日のアスタナは昨日のLPRの攻撃を教訓にして、コロムを逃げに乗せていた。クレーデンのリタイヤは予想外だったかもしれないが、チマコッピのガビア峠を無事にクリアした段階で、先にコロムが直近にライプハイマーを配したアスタナの体制は万全に見えた。

 アスタナの思惑通り、コロムが先頭でモルティローロの下りに入る。後は追走のコンタドールたちが追いついてくるのを待つだけだった。

90613  2級山岳アプリカの上りでセッラが飛び出したが誰も反応を見せなかった。しばらくしてシモーニが意地のアタックを見せたが、シモーニのジロは前日で終わっていた。

 続いてロドリゲスもアタックするが、総合上位陣は全く動かない。唯一ディルーカとの表彰台争いをしているブルセギンだけが追いたい素振りを見せていたが、リッコも全く動きを見せなかった。

 リッコはシモーニにまで追いつければボーナスタイムでコンタドールを上回りマリアローザを手にするチャンスはあった。しかし、それでも動かなかったのは、動けなかったのか、仮にここで数秒のアドバンテージを得てもミラノの個人TTでは到底コンタドールには叶わないと諦めたのかのどちらかだと思っている。90427

 それにしても三千数百キロ以上走って来てわずか4秒のタイム差が明暗を分けるのだから自転車ロードレースというのは過酷なスポーツだと思う。またそれが魅力でもあるだが・・・

 前日あれだけ果敢な走りを見せていたディルーカが完全に脱落してしまうなどということは誰も予想していなかったに違いない。前日の走りで全ての力を出し切ってしまったのだろうか?

 コンタドールはとうとうミラノまでマリアローザを守り通すことになった。急遽の参戦に加え、落車により右腕を亀裂骨折している状況でである。コンタドールにとっても苦しく長いステージだったと思っている。

90426  ツール・ド・フランスに参加できていればここでこんな厳しい走りを求められることもなかったはずで、決して満足の行く走りができていたわけではない。それでもここまで無難にマリアローザを守り通すのだから、改めて彼の能力の高さと、ヨハン・ブリュイネールの手腕には感心させられる。

 TVをご覧の方ならお分かりのことと思うが、逃げたコロムが再三無線で指示を仰いでいた。そして、コンタドールに合流してからもしきりに無線を触っていた。コンタドールが追いつくまではタイム差などの指示があるのは当然だが、合流してまで無線で何を話していたのだろうか?

 プロのロードレーサーなら自分の役割は分かっているはずなのに、コロムは何度も無線で指示を求めていた。おそらく指示は何もするなということだったのではないかと私は推測している。それに対してコロムは本当にそれでいいのかと確認をしていたのではないかと・・・

 コンタドールに合流してからのコロムの仕事はリッコが動いた時に彼をマークすることだけだったはず。それよりも彼の最大の仕事はモルティローロまで逃げ、後続のアタックを封じ込めることだったはず。

 結局リッコが動かなかったためコロムの仕事はコンタドールと合流した時点で終わっていたことになる。これぞブリュイネール采配の妙だ。アスタナにとって残す仕事は後ひとつ。全てはコンタドールに託された。

 今日も一番最後にスタートしリッコとのタイム差に応じた走りをすればいいのだから、コンタドールも楽なはず。ブルセギンとは2分あるので、よほどのアクシデントさえなければ、コンタドールはリッコとのタイム差を広げてマリアローザを確定させることになるだろう。

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余裕の4秒差・・・?

 前日の第18ステージのフォイクトに続きこの日の第19ステージも思わぬところでレースが動いた。

 ヴィヴィオーネ峠の下りでパオロ・サヴォルデッリが本領を発揮し、ダニーロ・ディルーカを引き連れて集団から飛び出したのだ。

 ドロミテに入ってから生彩を欠いていたディルーカが1級の山岳を2つも残して積極的に動いたのだ。しかも雨の下りで・・・90271

 最後の登りだけでは2分以上の差は詰められないと判断したディルーカらしい積極的な攻撃だった。勿論、下りのスペシャリストのサヴォリデッリがいてこその作戦だったのだろうが、男ディルーカの面目躍如の瞬間であった。

 マリアローザを擁するアスタナはコロムとクレーデンで追いに出るが、マリアローザを守らなければならないアスタナはリスクは犯せない。2つの峠の下りで2分ものタイム差がついてしまった。

 アスタナにとってはライプハイマーの不調が痛かった。モンテ・ポーラの上りに入りしばらくはクレーデンが引いていたが、ディルーカのペースは落ちない。このままではコンタドールのマリアローザはディルーカの手に渡ってしまう。

 たまらんという格好でコンタドールが動いた。これにはリッコとペッリツォッティ、ヴァンデンブロック、メンショフ、ヴァンデンブロックらが続く。集団がみるみる小さくなってゆく。コンタドールが一気にペースを上げてディルーカを追走する。

90344  残り2kmの地点でリッコがアタック!これにはセッラとコンタドールが合流する。ペッリツォッティやメンショフは遅れ気味。そしてリッコがもう一段スピードを上げ、コンタドールを引き離しにかかった。コンタドールは付いて行けない。

 しかし、コンタドールはあくまで冷静だった。ドロミテの厳しい上りで見せたように、自分の貯金をきちんと計算した走りに切り替え、無理に追うことはしない。チームカーからの適切な指示もあるのだろうが、コンタドールにあせりの色は全く見られなかった。

 逃げ切ったキリエンカから4分36秒遅れてディルーカが2位でゴール。さらに1分8秒遅れてリッコが5位で帰ってくる。デジタル時計がタイムを刻んで行く。リッコの手にマリアローザが移るのか?

 マリアローザグループが戻って来た。最後のスプリントで最後方に下がったコンタドールだが、集団ゴールでリッコとのタイム差は38秒。5位入選でボーナスタイムを逃したリッコはわずか4秒の差に泣いた。

 下りで無理にリスクを犯すことをせず、上りで遅れても慌てる素振りも見せなかったコンタドール。これがツール・ド・フランスを征した選手の自信なのか?コンタドールの脳裡には最悪のタイム差があるはずである。それは最後の個人TTで逆転可能と計算しているタイムだ。コンタドールの走りを見る限り、この日のタイム差より、トータルのタイム差を考えていたに違いない。90317

 状況によってはこのステージでマリアローザを手放してもいいという判断もあったはずだ。結果として4秒差でマリアローザを守ることになったが、それは結果論。コンタドールの中ではリッコとディルーカに1分程度のタイム差をつけられてもいいという計算があるに違いない。

 アスタナは昨年のディスカバリーのようにまだチームとして充分に機能していないように見える。ライプハイマーの不振もあるのだろうが、昨年のツール・ド・フランスのポポヴィッチように上りでゆさぶりをかけたり発射台になる選手がいない状況では、守りに徹するしかないのだ。

 それでもディルーカとのタイム差を考え、自ら動いて集団を活性化させタイム差を詰めにかかるあたりはベテランのクレバーさがある。リッコと1歳違いとはとても思えない。

Profile20  今日の第20ステージはチマコッピのガビア峠を越える長いステージで、今日がマリアローザ獲得のラストチャンスと考えているディルーカやリッコは当然早目に動いて来るだろう。昨日のステージで大きく遅れてしまったシモーニもこのままでは終わらないはず。

 昨日の走りを見る限り、ディルーカはまた下りで仕掛けてくるだろう。それをアスタナはチームとしてどれだけコンタドールを守れるのか?私はリッコとの4秒差よりディルーカとの21秒差の方が怖い気がしている。コンタドールも多分同じではないか?

 下りが得意とは云えないコンタドールにとって、今日の第20ステージが最大の試練の舞台になるかもしれないのだ。チームが機能しているLPRとチームが機能していないアスタナのチーム力の差が長い下りで露呈しなければいいのだが・・・

 今日のコンタドールはディルーカをぴったりマークすることになるはずだ。上りでリッコが仕掛けても自分で追うことはしないだろう。ディルーカをマークしていれば下りでリッコに追いつくことは難しくは無いからだ。昨日のあの短い下り2つで2分もの差を付けられているのだから、今日の長い下りは要注意だ!!

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コンタドールがマリアローザをGET!!

 ジロ・デ・イタリア第15ステージはアラッパからパッソ・フェダイアまでの154kmで行われ、総合26位からスタートしたCSFグループ・ナヴィガーレのエマヌエーレ・セッラが、4時間53分24秒を記録し昨日に続き山岳2連勝を飾り、合計タイムでも68時間11分24秒で総合10位に浮上した。88185

 この日も積極的に逃げたセッラには鬼気迫るものがあった。誰もが昨日の走りで今日のステージは厳しくなると予想していたはず。

 ところがセッラのモチベーションはそんな予想を吹き飛ばした。第7ステージのパンクでステージ優勝を逃したことがセッラの闘志に火を点けたのだろうか?

 総合争いを繰り広げている追走集団が霞んでしまうような次元の違う走りをみせてくれた。このセッラの走りを見ただけでも今年ジロ・デ・イタリアをフル観戦した価値があったと思っている。

 勝ちたいという気持ちを全面に出す選手が少なくなったと感じていただけに、セッラの闘志むき出しの走りは感動的だった。

 追走する後続集団ではリッコが抜け出したものの、コンタドールとのタイム差を逆転するまでには至らなかった。

 この日もコンタドールはジャウ峠で苦しんだ。仕掛けたディルーカについて行けずに遅れ始めた。下りでなんとか集団に取り付いたが、最後のマルモラーダでもリッコのスパートについて行けなかった。

 レース後のインタビューではホイールのトラブルがあったことが判明したが、こんなに苦しそうに走るコンタドールの姿を見るのは初めてだ。この日は早々にマリアローザのボッシージョが遅れたために、マリアローザが見えていた。

88191  先行したリッコとは57秒差。コンタドールは懸命に追いかけようとしたが、残り6kmでホイールトラブルに見舞われ、得意なダンシングを封じられた。それでも一時はディルーカのいるグループを引き離したものの、最後はさすがに力尽き、ディルーカやシモーニにまで交わされ6位でゴール。

 ただ、3位でゴールしたリッコとのタイム差は16秒に押え、マリアローザを獲得した。昨年のツール・ド・フランスのチャンピオンとはいえ、今年は開幕の5日前まではジロ・デ・イタリアに出場することなど全く考えられない状況を考えれば、コンタドールの能力の高さを感じさせる戦いを見せているといえるだろう。

 急遽出場の厳しさはクレーデンが6分26秒遅れの16位、ライプハイマーに至っては12分25秒遅れの19位という結果を見ても明らかだ。

 昨年のツール・ド・フランスでも最後の個人TTで貯金を上手く使って逃げ切った経験が生かされている。誰がスパートしても常にタイム差を考え無理して追うことはしない。そして最小のタイム差でゴールする。そして他のライバルに対し優位性のある個人TTで差を付ける。

 これがコンタドールの考えなのかヨハン・ブリュイネールの指示なのかは明らかにされていないが、彼が計算しながら走っていることは間違いはない。88194

 リッコはピエポリの落車が大きい。もし、ピエポリが無事ならマリアローザはリッコの手にあったはずだ。この15日間を振り返ってもプロチームでまともにアシストが働いているチームはほとんどない。

 アシストが仕掛け、有力選手が飛び出すという光景が全く見られないのだ。それだけ厳しいコースだともいえるのだが、コンチネンタルプロのCSFの活躍を見れば、ジロ・デ・イタリアを本気で勝ちたいと思っているプロチームがあるのかと思わざるを得ない状況だ。

 これも今年からジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスの主催者がUCIプロツアーから離脱したことが大きいと思っている。これで出場のチャンスが増えるコンチネンタルプロと出場できるかどうか分からないプロチームとのモチベーションの差がくっきりと現われているような気がしている。

 ツール・ド・フランスから参戦を拒否されているアスタナはツール・ド・フランスの分までメイチで来ると見ていたが、そのアスタナも急遽参戦で調子が上がっていない。

 結局、個人の能力の高さだけでコンタドールがマリアローザを着ることになった。コンタドールが今後マリアローザを失う可能性は非常に低くなったと見ている。万が一一時は手放したとしても最終日の個人TTで逆転優勝も可能である。

 コンタドールはこのまま行けば、ヴエルタも征してしまうだろう。年内にグランドスラム達成ということになるはずだ。

 ツール・ド・フランスの連覇の可能性はなくなったが、その代わりにマリアローザが手に入ったのだから、コンタドールのキャリアとしては悪くないと思っている。

 ツール・ド・フランス連覇の可能性がなくなっただけに、コンタドールにはグランツールの総合優勝数でランス・アームストロングを上回ってもらいたいと願っている。

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厳しすぎる山岳で有力選手も苦戦!!

 ドロミテ山塊に突入したジロ・デ・イタリア第14ステージはレースは序盤から逃げが決まり、1級山岳マンゲン峠で飛び出したエマヌエーレ・セッラ(イタリア、CSFグループ・ナヴィガーレ)がゴールのパンペアーゴまで独走し、後続のキリエンカに3分38秒もの大差をつけて念願のステージ優勝を手にした。

86397  総合争いもパンペアーゴで激化し、メンショフやリッコがリード。コンタドールはゴール前で力尽きメンショフから45秒遅れの15位でゴールした。

 その結果マリアローザはわずか5秒という微差でコンタドールではなく、ガブリエーレ・ボシージョ(イタリア、LPRブレーキ)の手に渡った。

 明日以降のことなど眼中にないような檄走を見せ逃げ切ったセッラとは対照的に、有力選手たちは今日の第15ステージと明日の第16ステージの山岳TTまでを念頭に置いた走りをしていたように見えた。

 パンペアーゴでは激しいバトルが見られると期待していたが、残念ながら有力選手たちにも余力はなかった。メイン集団から抜け出したメンショフにしてもコンタドールとのタイム差を一気に逆転するほどの切れ味がなかった。

 本来なら優勝候補のディルーカやコンタドールが遅れているのだから一気にタイム差を広げたいところだった。ただ、あの檄坂をこなすには往年のパンターニや全盛期のシモーニでなければ難しいように見えた。

 過去にパンペアーゴで優勝経験があるシモーニでさえメンショフに13秒、優勝したセッラからは9分以上も離されてしまったのだから・・・

 厳しすぎるコース故に大きなタイム差もつけられなかったということなのだろう。ただ、総合の順位とタイム差は大きく変動した。

 マリアローザはボッシージョ、5秒差の2位にコンタドール、28秒差の3位に個人TTを征したブルセギンが上がって来た。昨年も山岳TTで優勝があるように、ブルセギンが今日の第15ステージもこなしてしまうと総合を狙っている選手たちにはかなり厄介な存在になるはずだ。

 総合優勝を狙う選手たちは今日のステージでブルセギンとコンタドールにはタイム差を付けておかなければならない。

 昨日のレースを見ていて気になったのは、アシスト勢の不振である。コースがコースだけにアシストにとっても厳しいことは分かるが、パンペアーゴまでアシストを残していたのはLPRだけだった。

 リッコもピエポリが落車の影響で終始自分の後ろという状況ではあれが精一杯のレースだったに違いない。

 アスタナはクレーデンとライプハイマーが残ってはいたが、ライプハイマーが早々に遅れ出し、クレーデンまで遅れてしまう状態ではいたって心もとない。86399

 メンショフなどは終始丸裸の状態だった。コンタドールが隙を見せてしまったので、今日は攻撃の矢面に立たされることになるアスタナがどうコンタドールを守るのかが注目だ。

 果敢に攻めて優勝を勝ち取ったセッラの走りばかりに目が行きがちだが、私は昨日の最大の功労者はボッシージョだと思っている。ディルーカのアシストに徹しながら最後は自分の為に踏ん張って5秒のマージンを守り切りマリアローザを手にしたのだから・・・

 ただLPRとしては複雑な心境だろうと推測する。ボッシージョとディルーカのタイム差が1分7秒。これをチームがそう見るのか?あくまでもディルーカがエースならマリアローザがアシストに回ることになる。このタイム差なら多分そうなると思うが、今日もLPRは大きな仕事をしなければならくなってしまったことだけは間違いない。

 対するアスタナのコンタドールはむしろマリアローザを5秒差で逃したことが幸いするかもしれない。総合上位争いをする選手たちとのタイム差は1分以上あるので、今日も有力選手をマークするだけでいいからだ。マリアローザを守るためにレース序盤からチームが仕事を強いられることがなくなったからだ。

 とはいえ、今日は総合優勝を狙う選手たちは仕掛けなくてはならない日になる。山岳とはいえTTではブルセギンとコンタドールのスピードが1枚上なのだから。

 誰もがコンタドールとの差を1分以上は広げておきたいと考えているはずだ。つまりは今日のステージでコンタドールに2分以上の差をつける必要があるということになる。

 明日に個人TTを控えているだけに総合上位陣も無理はできないが、かといって昨日と同じレースをしていては仮に一時的に順位を逆転しても、明日の個人TTで再逆転される可能性が大きいのだ。

Profile15  また、コンタドールにも悩みが増えた。それはブルセギンという存在だ。昨日のようなペースならブルセギンが山も登れてしまうことが分かった以上、どこかでペースを挙げてブルセギンだけは振り切ってしまわなければならない。

 今年はまだチームとしてほとんど機能していないアスタナがどいう手にでるかが楽しみだ。総合では5分以上遅れてしまったライプハイマーをどう使うかが鍵になるだろう。

 最後の山頂ゴールとなる今日こそは有力選手たちの火花散る戦いが見たいと願っている。

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ジロ・デ・イタリアが最大の山場に突入!

 ジロ・デ・イタリア第13ステージはモデナからチッタデッラまでの177kmで行われ、ハイロード(High Road)のマーク・カヴェンディッシュ(Mark Cavendish、英国)が、ベンナーティとのスプリント勝負を征し4時間11分07秒のタイムでステージ2勝目をあげた。

 今回のジロ・デ・イタリアは唯一純粋に平坦といえるコースで行われた。

Profile14  今日から始まるドロミテでの厳しい山岳ステージを控え、総合争いの選手はスタミナ温存でペースはゆったりとしたものになった。

 レースは38km地点から飛び出したブファズとアギッレの2人が逃げ続けたが、結局ゴールまで12kmを残して集団に吸収されてしまった。

 ここから集団はスプリンターチーム先導でゴールに突き進んだ。曲がりくねったチッタデッラのゴール前ではチームハイロード、スリップストリーム、アージェードゥーゼル、リクイガスが主導権を争い、ラスト3kmからチームハイロードが隊列を組んで先頭へ。そしてラスト1kmでチームミルラムが先頭に立った。

 ミルラムトレインはマルコ・ヴェーロ(イタリア)がエリック・ツァベル(ドイツ)をスプリントに誘うが、ツァベルのスプリント開始前にベンナーティが加速して先頭に立つ。そしてラスト200mでベンナーティが先頭でスプリントを開始し、カヴェンディッシュがこれに呼応するようにスプリントを開始。カヴェンディッシュは独自の加速力を活かしてベンナーティに並ぶと、いとも簡単にパスして先頭へ。最後は余裕を持ってフィニッシュライン上で両手を上げた。

 カヴェンディッシュは「3センチ差」で負けた前日の雪辱を完璧な勝利で果たした。86218

 しかし、強烈な加速力を持つカヴェンディッシュにとってはこのステージよりも、今日から始まる山岳が重要になる。

 ワンデイレースとは違い厳しい山岳もある程度こなせなければ、グランツールでは真のスプリンターとは認められないのだ。

 一体何人のスプリンターが無事ミラノまで辿りつけるのか?それほど今年のジロ・デ・イタリアの山岳は厳しいコースレイアウトになっている。

83900  レース後のインタビューを読む限りでは、一様にシモーニを警戒するコメントを残している。それだけシモーニの調子が際立っているのだろうが、調子の良さだけで勝てるほどグランツールは甘くないと思っている。

 個人的にはコンタドールとリッコの若手の争いと見ている。シモーニの経験は侮れないが、リッコとの26秒差はともかく、コンタドールとの2分近い差は大きいと見ている。

 繰り上がりのような結果になったのは残念だが、ツール・ド・フランスの王者であることには替わりがないコンタドールの能力が高いと見ている。85345

 ただ、個人の能力だけでも勝てないのがグランツールで、チームのアシスト力も重要なファクターになることを考えると、エース級の選手が多いもののここまでのレースを見る限りチームとしては充分に機能しているとは云い難い状況だ。

 その点、リッコにはピエポリという山岳得意のアシストがいるのは心強い。

 アスタナがライプハイマーやクレーデンをアシストとして使うのかもまだはっきりしていない。

 個人的にはツール・ド・フランスには出場できないコンタドールを応援するが、結果はゴールするまで分からないというのが正直な感想だ。

 誰が勝つにせよ今日と明日の2つのステージが総合優勝争いを決める大切なステージになることは間違いない。

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雨中の決戦が続くジロ・デ・イタリア

 第10ステージの個人TTの結果が雨によって大きく左右されたが、続く第11ステージと第12ステージも雨に祟られたレースとなった。

 特に中級山岳の第11ステージでは落車が相次ぎ、ついにマリアローザのヴィスコンティまでが落車するという事態になってしまった。

 私もここ数年ジロ・デ・イタリアを見続けているが、これほど雨の日が続くのは珍しいことではないだろうか。

 200km近い距離を走るだけに場所によって雨の激しいところと、全く降っていない場所があるのは当然のことかもしれないし、TTのように時間差スタートでなければ全員が同じコンディションの中を走ることになるので、雨が勝敗を大きく左右することは少ないが、それでもウェットな路面はリスキーで選手にとっては厳しいコンディションを強いられることになる。

 また、雨の中では総合を争う選手たちはリスクを回避するために慎重になるため、集団のペースが上がらず、第11ステージなどはゴールが午前1時になっていた。

 昨日の第12ステージは172kmと距離も短い平坦コースだったのに、ゴールが午前0時を回っていた。

 第11ステージは5人の逃げが前半で決まり、後半にフォルトゥナート・バリアーニ(イタリア、CSFグループ・ナヴィガーレ)が加わり逃げが決まる展開になっていた。

85743  メイン集団は雨中の山岳コースでのリスクを避けるため、有力選手が前の方に位置していたが、ペースは全く上がらないまま優勝したベルトリーニから4分近いタイム差でゴールした。

 途中で落車をしたヴィスコンティもベッティーニ等の献身的な引きで大きく遅れることもなくマリアローザを守ることができたが、途中の1級山岳で遅れていたので、マリアローザを着て走るれるのは明日の第14ステージが最後になるかもしれない。

 本人はタイム差もあるので何とか日曜まではマリアローザを着ていたいとコメントしているようだが、土曜の第14ステージは2000mの超級山岳を越えて、1級山岳の登りゴールとあっては10分以上の遅れも充分に考えられる。

 そして日曜の第15ステージ終了時にマリアローザを手にした選手が総合優勝に大きく近づくことになるだろう。

 優勝候補たちの中でこの2つのステージで苦戦するのはディフェンディングチャンピオンのディルーカだろう。リッコにはピエポリという山岳スペシャリストのアシストがいるので、この2つのステージで大きく遅れることはないだろう。

 ただ、リッコはここをしのいだとしても次の山岳の個人TTでは確実に遅れるはずだ。リッコに勝機があるとすれば、この2つの山岳でライバルたちと2分近い差を付けた場合だけだと見ている。85346

 骨折は気になるが、私はコンタドールの力が1枚抜けていると見る。不安材料といえばアスタナのアシスト力だ。第11ステージでも遅れていたライプハイマーではアシストは務まらないだろう。クレーデンもオールラウンダーではあるが山岳を得意とする選手ではない。

 アシストを失ったコンタドールが、ピエポリ+リッコという強烈な牙城をどう打ち砕くのかが今から楽しみだ。

 それと個人TTで調子の良さを見せ付けたシモーニの存在も不気味だ。年齢的に上積みはないと思うが、ステージ優勝で気を良くしているベルトリーニなどのアシストが大きな助けになることは間違いない。

 ただシモーニもリッコ同様コンタドールにある程度タイム差を付けておかないと、山岳TTでは確実に1分近いタイム差を付けられてしまうはずだ。

 その後も第18・19と2つの山岳を残してはいるが、今週末の2つのステージ比べれば比較的楽なコースのはずである。第16ステージでマリアローザを着た選手は、この2つの山岳は守りに徹するはずだ。

 今日の第13ステージがスプリンターたちが活躍できる最後の舞台となるだけに、雨だけはなんとしても避けて欲しいものだと願っている。

85853  それにしても昨年のツール・ド・フランス以降のベンナーティーの強さはさらに磨きがかかっているようだ。昨日のステージもTVで見ている限りではカヴェンディッシュに差されたように見えたが、写真判定でわずか3cmを凌ぎ切っていたのだから。

 山岳もある程度こなせる選手(昨年のツール・ド・フランスでは山岳で先頭を引いていたこともある)なので、このままツール・ド・フランス、ヴエルタ・エスパーニャで一体何勝を挙げることになるのだろう。

 マキュアンに全く生彩がなく、ペタッキも出場停止中となれば、当分は番なーティー時代が続きそうな気がしている。

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